〜過去と未来と現在と〜
ニコニコ笑ってしきりに見つめてくる。
気が付いてはいたが、クォヴレーはひたすら無視を決め込み端末を弄っていた。
けれども一向に構ってくれないクォヴレーに焦れたのか、
アラドは甘えた声で話しかけてきたのだった。
「クォ・ヴ・レー」
「・・・・・・」
しかしクォヴレーは答えない。
だがそんなことでへこたれるアラドでもなく、
「クォ・ヴ・レー」
と、もう一度名前を呼び首に腕を絡ませ背後から抱きついた。
「・・・・っ」
流石に首を絞められては作業が続けられない。
悔しいことに『力』と『食い気』だけはどうしてもアラドに勝つことは出来ないのだ。
クォヴレー自身、肉体強化を受けているようだが、
アラドもまたスクールで肉体強化を受けているのだから仕方ない。
アラドはその気になればパンチやキックで扉に穴をあけられる。
けれどクォヴレーはそこまでの力はないのだ。
「・・・アラド、邪魔だ」
叩いても引っ叩いても離れない首に巻きついている腕。
仕方なくクォヴレーは冷たく言い放つのだった。
だが、アラドはその程度ではめげない。
「ひっでーなぁー」
悪びれた様子のないくったくな笑顔で顔を覗き込まれれば、
もう苦笑を浮かべるしかない。
「(仕方ない。少しだけ付き合うか)」
椅子をクルリとして向きなおすと、
アラドは抱きついていた腕を素直に外してくれた。
「お!オレの相手してくれる気になった?」
「・・・お前・・・」
まるで悪びれた雰囲気をもっていない子供のような笑顔。
クォヴレーは呆れ顔でため息を吐きながら小さく睨んだ。
「お前が邪魔をするからだろう?仕方ないから話だけは聞く」
「まーまー。ガリ勉もいいけどたまには息抜きも必要だろ?」
「・・・否定はしない。・・・で?なんだ??」
「いやぁ〜・・・、
お前3時間くらいずっと端末に向かって疲れているだろうと思ってさ。息抜きしよーぜ?」
「・・・別に?必要はないが・・・?」
話は終わった、聞いてやった、と、
フイッと顔を横に反らし、そのまま端末に再び向かおうとするクォヴレー。
いいたいことはそれではないアラドは慌てて引き止める。
今度は別の言葉で。
「あーーー!待て!そうじゃなくて!!」
「?」
「だーかーらー・・・その・・・」
「?」
頬をポリポリしながら言葉を言いどよむアラドに、怪訝な表情のクォヴレー。
人より感情に疎いクォヴレーはまだまだ色恋沙汰にはかなり奥手なのだ。
「だからさ・・端末弄ってばかりじゃ疲れるだろ・・?」
「???だからそんなことはない、と、言っただろ??変なヤツだな」
「いや・・だから・・その・・・」
もごもご歯切れの悪いアラドに少しだけ苛立ちを表してしまう。
奥手なクォヴレー・・・だから気がつけない。
恋愛のイロハがわからないクォヴレー。
だからアラドの『心』に気付けないのかもしれない。
・・・・端末ばかりではなく自分にもかまってほしいというシグナルに気付けないのだ。
「アラド?」
さっきまで浮かべていた屈託のない笑顔が消え、
流石に心配になったのかアラドの顔を下から覗き込む。
アラドもクォヴレーが自分以上に鈍いことは十分承知しているので、
苦笑いを浮かべて聞こえるか聞こえないかの音量で呟く。
「・・・少しはかまって欲しいな、と思って、さ」
「!」
およそ似つかわしくない小動物のような小さな呟き。
けれどクォヴレーにはしっかりと聞こえた。
「アラド・・・」
「忙しいのも分かるけど・・・オレ・・・」
「・・・アラド・・・そうならそうと言えば良いのに」
「・・・へ?」
ほぼ鉄仮面といっていいほどのクォヴレーの表情が曇っていく。
「(あれ??オレ、そんなひどいこと言ったっけ??)」
アラドは慌てて言葉を捜して両手をブンブン振り始めた。
ただちょっとかまって欲しい、という合図だったので、
そこまで本気で考え込まれるとは思っていなかったのだ。
「クォ、クォヴレー!!あのさ・・・」
何を言えば良いのか、アラドは必死に言葉を探す。
けれど焦れば焦るほど適当な言葉とは見つからないものだ。
どうしよう、どうしよう、とアワアワしていたその時、
「オレは・・・」
と、先にクォヴレーが口を開いたのだった。
「オレは、色々な感情に疎いから、はっきり言ってくれなければわからない。
・・・・悪いとは思うが・・難しいんだ・・・すまない」
「クォヴレー!!だからさ!!違うんだって!!」
「?」
「ただちょっと話がしたかっただけで!!
端末にお前取られて、端末に焼餅っていうか?
だ、だからそんなに落ち込まないでくれ!!オレこそごめん!!」
「・・・アラド」
アラドの慌てぶりが可笑しいのか、口端でクスッと笑うと
クォウレーは目だけで時計を見た。
「(・・・午後8時・・残りは明日でも大丈夫か)」
「ほんっと!ごめんな〜!!オレの我侭でした!
気持ちに疎いとか気にすんなよ!オレもそうだし?
鉄仮面なところもお前の長所だしさ!」
「え?」
鉄仮面が長所だなどという人間はそうそういないだろう。
キョトンとアラドを見上げれば、
アラドもあれ?と言う顔をしてお互い目を瞬かせてしまった。
「ぷっ」
「・・・フフ」
そして気まずい雰囲気から一転し明るいものにかわったのだった。
部屋にはアラドの豪快な笑い声と、優しく微笑むクォヴレーがいる。
「・・相変わらず可笑しなヤツだな。
わかった・・・今からオレの時間はお前にやる」
「・・・へ?」
「丁度キリの良い場所まで終わったところだったからな。」
「・・・いいの?」
キラキラ目を輝かせて何度も何度も『いいの?』と尋ねるアラドに、
苦笑しながら何度も頷くクォヴレー。
やったーと叫ぶアラドは、
「じゃ、ゲームしようぜ!」
と、クォヴレーを椅子から立ち上がらせた。
「ゲーム??TVゲームか???」
「違うよ!笑わせゲーム!」
「は?」
「相手を笑わせたほうが勝ち!
負けたほうは何でも言う事聞かなくちゃいけないの!」
「・・・本気か?」
「モチ!」
小首を傾げマジマジとアラドを見つめる。
アラドには申し訳ないが、
「(たまに馬鹿と思うことはあったが・・・本当に馬鹿とは・・)」
と、失礼なことを思うのだった。
ジー・・・と見つめ、冷めた口調で言ってみた。
「アラドは負け戦が好きなのか?」
「なんで?」
「・・・さっきオレを鉄仮面と言ったばかりじゃないか。
オレは滅多に笑わない・・・つまりその勝負はお前に不利じゃないか?」
「・・・・!んー・・・、でもお前だって可笑しければ笑うだろ?」
「・・・・可笑しくて怒りはしないな」
「なんだよ、それ!」
はははっと笑うと、今度はニンマリ笑うアラド。
クォヴレーは忘れていた。
アラドは『食べること』に関してはおそろしく頭が働くということを。
「オレだってハナから負けると分かっている勝負はしないぜ〜?」
「・・?」
「・・・お前、さっき言っただろ?」
「・・・言った?」
「・・・オレにお前の時間をくれるって、さ」
「!(そういうことか)」
へへへ、と笑うアラドをクォヴレーはギロッと睨む。
「相変わらず、そういうことには頭がまわるな」
「さんきゅ〜」
「・・・はぁ・・・誉めてないが・・・わかった・・オレの負けだ」
眉間に寄せていた皺を解くとフワリと微笑んだ。
そしてアラドの首に今度はクォヴレーが腕をまわし、
唇に触れるだけのキスを贈る。
「・・・素直に溜まっていた、と言えば良いだろ?
オレがわざとゲームに負けるようにしくんだりしないで」
「・・なんだよ、それ?まるでオレが性欲魔人みたいじゃん!」
「・・・ちがうのか?・・・確かに最近忙しくてご無沙汰だったが・・・」
「まーねー」
「アラドの『食い気』には感服する」
「ははは!上手いなクォヴレー」
そう、アラドは決して馬鹿ではない。
普段は馬鹿なことばかりしているが頭はきちんとまわるのだ。
クォヴレーはアラドに時間をくれるといっていた。
けれどストレートにエッチしたい、
と言ってもクォヴレーが頷かないことは分かっている。
だからゲームを持ちかけた。
限りなく自分に不利なゲームを・・・。
クォヴレーが折れることをわかっていて、だ。
ベッドに移動しクォヴレーの腰に腕をまわしてキスをする。
はっきり言えばキスはクォヴレーのほうが上手だった。
自分に跨ってしきりにキスをしてくる。
最初のうちはそれだけで精一杯だったアラドも
今では最初のキスの段階でクォヴレーの服を脱がせるようになるまでに成長した。
「・・・ん」
馬乗りになっているクォヴレーの身体が小さく震える。
アラドがボタンを外し、胸の飾りを軽く摘んだからだ。
「んん・・んっ・・あ!」
ドサッという音とともに身体の上下が入れ替わる。
口端から唾液を零しながら咽を仰け反らせる。
「ふ・・ぁ・・・」
「・・・気持ち良い?」
「聞・・くな・・あっ・・・」
全身がゾワゾワ粟立つ。
少しだけザラつきをもっている舌で、
丹念に小さな飾りを舐められることを
最早快楽とインプットしているクォヴレーの身体は素直に反応を示してくれる。
「ア、・・アラ・・・ド・・・」
「・・・ん〜?」
「うぅ・・・・んぅ・・・」
アラドの唇が胸の飾りから腰の辺りに移動していく。
痕は残すな、と毎回言われているがここなら目立たないだろ?
とアラドは毎回わき腹の辺りに1つだけキスマークをつけることを楽しみにしていた。
「やめっ・・!ん、・・・んんっ」
甘痒い痛みが腰にし、そこから全身が痺れていく。
「・・・やっぱ肌が白いからちょっと目立つよな。」
「だから・・・いつも・・やめろと・・・」
快楽と悔しさと恥ずかしさで目に涙を浮かべて罵るクォヴレーの唇に
アラドは優しくキスを落とす。
「・・・・ふ、ぅ」
傍若無人に動き回る舌。
決して上手いとは言いがたいが、クォヴレーはそんなキスが好きだった。
「・・・は、・・・んっ」
唇から唇が離れ今度は首を据われた。
痕をつけないようにと、舐めるように吸われた。
そしてそのまま胸の飾りを再び弄られ、
だんだんわけが分からなくなっていくクォヴレー。
頭を振り回し、何度もアラドの名前を叫ぶのだった。
「(・・・ほんと、ギャップあるよな〜・・、そこがまたいいんだけどさ)」
「ア、ラド・・・!」
「クォヴレー・・・・好きだぜ」
「!!・・・ば、か・・・あっ?」
クォヴレーは『好き』という言葉に弱い。
その言葉を言われると全身なら力が抜けてしまうらしい。
本人いわく『こんな自分を好きになってくれて嬉しくて』らしいが、
それをいうとアラドに起こられるので最近では言わなくなった。
なんにせよ、その言葉で完全にクォヴレーの身体が脱力するので、
それを機にアラドはクォヴレーの下半身に愛撫を進めるのが日課であるのだ。
「あっ・・・あ、・・それ・・やめっ・・」
毎度のこととはいえ、どうしてこの時間の時はいつも以上に流されてしまうのか?
ソコへ口で直接的に愛撫を受けるのを苦手なクォヴレーとしては、
悔しくて堪らないらしく、愛撫の間中アラドを罵倒し続ける。
「ばかっ・・・ば、・・かぁ・・・ひぅ・・ん〜」
内腿が悦びに打ち震える。
限界が近いのか次第に罵倒の声は聞こえなくなり、
変わりに可愛らしい喘ぎのみが聞こえてきていた。
舌先で性器の裏筋をツゥー・・・と舐めてやると内腿は大きく痙攣し、
アラドの首に足を絡みつけるのだった。
『イかせてくれ』の合図に、心得たように最後の刺激を与えるアラド。
先をきつく吸い上げそのまま全体を口に含み始めた・・・その時、
「あ、あぁっぁ!!」
短く声を上げ、口の中に全てを吐き出した。
頭上で荒い息遣いが聞こえてくる。
首に絡まっていた足はベッドに投げ出され、
アラドはゴクンと咽を鳴らした。
「・・・・・ぅ」
「・・・濃い・・・クォヴレー、自分でやんなかったんだ?」
「!!!!!!!」
息使いが荒いままクォヴレーは顔を朱色にそめる。
ニマッと笑うアラドを殴ろうと身体を起したその時、
アラドはギュッとクォヴレーを抱きしめた。
そうされると、抱きしめられる心地よさに怒りが萎えてしまう。
・・・・ズルイ、と唇だけで罵るクォヴレー。
「・・オレもやってないから相子だな」
「・・・アラド」
目を閉じ、アラドの背を抱きしめる。
そのまま少しの間、向かい合うように座りながら抱きしめあった。
胸に埋めていた顔を上げ、アラドを見上げる。
いつの間に脱いだのか、アラドも既に裸で下半身では元気よくソレは上を向いていた。
自分に欲情してくれている、
頬を薄ピンクに染め、アラドの足に座りクォヴレーは唇を重ねる。
「クォ・・?ん・・・」
いつもとは違う感じのクォヴレーに戸惑うアラド。
小悪魔的な妖艶な笑みを浮かべたかと思うと、
そっと自分の腰を上げたのだった。
「クォヴレーさん??・・・・うっ」
屹立した先端に不意に宛がわれたその部分。
いつもいつもアラドを包み込んではなかなか離してくれないその部分に
ヌルヌルと滑らせ始めたのだ。
「(やべっ・・・なんか気持ち良いんですけど?)」
「アラド・・・そのまま・・・」
「へ?」
微妙な摩擦の刺激にだんだんと濡れ始めていくアラドの性器の先。
その滑りをアラドを受け入れる場所に塗りつけていくクォヴレー。
流石に受け入れるために濡らしているのだとアラドにも分かったが、
いかんせんまだ全く解していないのだ。
久しぶりなのだしまずいのでは?とアラドは内心焦った。
早く挿れたいのま山々だが、
自分の気持ちを優先にクォヴレーに苦しい思いをさせるのは心苦しいのだ。
「クォヴレー!!まさかこのまま・・・んっ」
アラドの抗議は腰を揺らすクォヴレーの口に塞がれる。
舌と舌を絡める行為にアラドの欲望は更に大きさと固さを増し、
先からは透明な蜜があふれ出していく。
「いいから・・・今日はこのまま・・・オレが気持ちよくしてやる」
「いや・・だからってそれは・・・くっ」
「んんっ!」
その時、クォヴレーの眉間に皺がよる。
苦しげな表情を浮かべるがそのまま一気に腰を落として
アラドを深い場所まで誘(いざな)ったのだった。
「ふ・・・・く・・・」
「ん・・・(・・すっごい・・気持ち良い・・良いけど・・)」
細い腰を抱けば細かく震えていた。
久しぶりなのに一気に受け入れた衝撃は相当なものだったのだろう。
けれどクォヴレーは顔を上げると、
そのままゆっくり身体を上下に動かし始めた。
「クォヴ・・・あっ・・・!!」
「くぅ・・・、アラ・・・アラド・・・」
クォヴレーが身体を上下させるたびアラドの全身は粟立っていく。
身体は確かに快楽を感じてはいるが、アラドの心は冷めていくばかりだ。
『オレが気持ちよくしてやる』
確かにクォヴレーの出生も、
過去誰かと関係を持ったことがあるのもアラドは気にしていない。
過去は所詮過去であり、今気にしてもどうにもならないからというのもあるが、
アラドは今のクォヴレーが好きなのであって、過去は本当にどうでもいいのだ。
けれどこうやって過去に磨いたものを武器に使われるのは面白くない。
自分ひとりだけが気持ちいセックスに何の意味があるのだろうか?
・・・アラドは動くクォヴレーの腰の動きを自慢の手腕で止めた。
「・・・?・・・アラド?」
「・・・オレさ、お前の過去は気にしねーよ」
「・・・いきなり何の話だ?」
気持ちよくなってもらいたくて必死に頑張ったクォヴレーにとって、
急に動きを止められたことに対し困惑を隠せない。
「だけどさ、こうやって投げやりにするエッチは全然気持ちよくない」
「!!投げ・・・やり?」
アラドの眉がつりあがっていた。
首にまわしていた腕がブルブル震え、困惑の目でアラドを見下ろす。
「・・・アラド・・・オレは・・ただお前に気持ちよくなって欲しくて。
お前・・・セックス好きだし・・・だから・・・・・」
「オレはセックスが好きなんじゃなくて、
お前とするセックスだから好きなだけだけど?」
「・・・・オレと?」
ならどうして止めるのだろう?
クォヴレーは本当に混乱し始めた。
「クォヴレーが・・・こういうことするのあんま好きじゃないのは分かってる。
・・・・誘っても良い返事あまり返ってこないし・・・。
それは過去に酷いこと・・・されたからなんだろうけど・・・・」
「・・・・・・・」
「オレが求めたら結局断らないことも分かってる。
こういうこと好きじゃないのに応じてくれるの嬉しいし・・・、
だからできるだけお前にも気持ちよくなって欲しくてオレなりに頑張ってる」
「・・・・・」
「だからこうやってオレだけ気持ちよくしようとするのは正直腹立つ」
「!!?」
突き放すような言い方に、クォヴレーは全身から力が抜けてしまう。
確かにセックスは今だに好きではなかった。
まだ完全に思い出してはいないが良い思い出などなかったし、
ただただ苦痛な行為だったからだ。
けれど・・・・。
「確かに好きではない・・・ないが・・・オレもアラドとするのは好きなんだ」
「・・・・クォヴレー」
「一方的とか・・そんなこと考えてなかった・・・。
ただアラドに気持ちよくなって欲しくて・・・アラドが・・・好き、だから」
「・・・・・」
「・・・端末に夢中で放っておいたお詫びに・・
今までしたことのない体位をと・・それだけだっ・・・んぅ、ふ」
アラドのキスにそれ以上の言葉を塞がれる。
なだめる様な優しいキスに、冷めていた身体に再び熱が点りだす。
「ふぁ・・・」
「・・・オレって・・やっぱせっかちなのかな?」
「・・・んっ・・・、アラド?」
「勘違いでクォヴレー傷つけちまった・・・ごめんな?」
苦痛に歪む表情にクォヴレーは微笑をむけた。
フルフル頭を左右に振り、ポゥ、と頬をそめ、
アラドの耳元で囁いた。
「・・・気持ちよくしていいか?」
するとドクン、とクォヴレーの中に入ったままのアラドが大きく脈打った。
「んんぅ!!ア、アラド・・・大き・・く・・・」
ゾクゾク震えているクォヴレーの肢体をしっかり抱きしめ、
アラドは子供っぽく微笑んだ。
「んじゃ、遠慮なく気持ちよくしてもらいましょーか?」
「・・・ん、・・・了解、だ」
暗い部屋、ベッドライトに照らされているクォヴレーの肌の汗がキラリと光る。
自分の快楽と、アラドの快楽を一緒に求めるため、
大胆に腰を動かしているので、ベッドは大きく揺れていた。
隣に聞こえるんじゃないかと心配だが、
すでに二人はそんなことすら考えられないくらい互いに夢中であった。
「あ、あぁ・・あっ・・・く・・・」
「・・・・、ぅ」
クォヴレーが腰を動かしとき、時折アラドも腰を上に突き上げた。
するとクォヴレーが更に自分を絞ってくれて全身に快楽が走っていった。
クォヴレーもアラドに突き上げられると、
深い場所を擦られ全身に電流が走っていくのだった。
「あっ・・・クォヴレー・・!オレ、・・も・・ヤバ・・」
「アラ・・・アラ・・・ド・・ん、・・・んぅ・・!!」
強く抱きしめあう。
お互いの震えが伝わってきて同時に絶頂を向かえたことを知る。
座りながら交じり合っていたが、崩れるようにベッドへ倒れ込む二人。
アラドはゆっくり状態を起して自身を引き抜くと、
ドロッとクォヴレーの中から精液が流れ出てきたので
ソレをマジマジと見つめるのだった。
「・・・変態・・・」
ボソッと呟くクォヴレー。
両手で顔を覆い、アラドの顔を静止できない。
確かに『許可』したのは自分だが、
何度やってもソレはなれない行為だ。
「だってさ・・好きなんだよね・・・なんかオレのものって感じがして」
「変態・・・・」
罵倒しつつも足を軽く開くクォヴレー。
アラドはクォヴレーの下の蕾から精液が流れ出てくるところを見るのが好き、
と、言っていたので恥ずかしいがその場面を見ることを許したのだ。
「(アラド以外絶対にこんなことは嫌だ!!)」
行為が終わった後、いつもは頑なに拒否していたのだが、
『オレにくれた時間だろ〜?』
と、詰め寄られ泣く泣く一緒に入ることにした。
実際にこうして一緒にお風呂に入るのは初めてかもしれない。
クォヴレーは少しだけ頬を赤らめ、身体を洗っていく。
全身泡だらけになり、
またお風呂場は湯気が沢山立ち込めているので、
自分の身体を洗っているというのもあるが
アラドはそんなクォヴレーの変化に気づかなかった。
おそらく気がついていたら鼻血ものだっただろう。
二人仲良く並んで(狭いせいもあるが)頭を洗い始めた。
その時突然にアラドがクォヴレーの頭を掴んだのだった。
「???アラド???」
シャンプーを流そうとシャワーを手に取った瞬間だっただけにクォヴレーは驚いた。
「なんだ?先にシャワー使いたいのか??」
「違うよ!!」
相変わらず少しだけずれたているクォヴレーに苦笑しながら、
アラドは止めた理由を話始める。
「お前、実は大雑把だよな」
「・・・そうか?」
「そうだよ!・・・ほら!」
クルッとクォヴレーを鏡へと向かせる。
すると・・・なるほど・・・・、アラドの言い分は正しいかもしれない。
まぁ、鏡を見ただけでは何が大雑把なのかは分からないので、
しかめっ面なクォヴレーは不満一杯の声で講義するのだった。
「オレのどこが大雑把なんだ??」
「シャンプー、全然出来てないじゃん」
「え?」
クォヴレーは慌てて鏡を見つめる。
銀髪で分かりにくいが・・・確かに泡立っているところはまばらであるようだ。
「仕方ないな〜。オレが洗ってやるよ!」
「え?いい・・・うわっ!!」
止めるのも聞かず、クォヴレーの背後に立つとワシャワシャ髪を洗い出す。
「・・・(気持ち良い)」
「お痒いところはないですか〜??」
棒読みで聞いてくるアラドにクスクス笑ってクォヴレーは答えた。
「ないです」
「それではお流ししまーす」
シャーとシャワーをかけ、髪から泡を落としていく。
クォヴレーは目を瞑りだまってその行為を受けていた。
「よし、終了〜」
タオルを手渡され顔と髪の毛を拭くクォヴレー。
髪を洗ってもらったことが嬉しかったのか、
満面の笑みを浮かべてお礼を言った。
「ありがとう」
「どういたしまして!ついでにドライヤーもしてやるよ」
「・・・いや、そこまでは・・・」
「いーから、いーから!さっき勘違いしたお詫び」
「もう気にしてないが?」
「オレは気にしてんの!いいから任せろって!」
譲る気のないアラドに小さく笑うクォヴレー。
先ほどアラドは、
『意外に大雑把』
と、新しい発見をしたようだが、
クォヴレーもまたアラドの新しい部分を見つけたようだ。
「(アラドは以外に面倒見がいいんだな・・・。
スクールという場所でしたの子達の面倒でも見ていたのだろうか?)」
クスッと笑うクォヴレーが不思議だったのかアラドは首を傾げる。
「なに?」
「いや?」
「・・・変なヤツ」
「そうかもな」
いつまで一緒にいられるか分からないけれど、
一緒にいられる間はこのままで、とクォヴレーは心ひそかに願うのだった。
その後髪を乾かしてもらったクォヴレーは、
求められるまま普段は嫌がるベタベタを許していた。
まだまだ子供な二人は変な勘違いで喧嘩もするけれど、
なんだかんだで丸く収まる新婚そのものなのである。
いつか旅立つその日まで・・・・・・。
有り難うございました。
Sさまより頂きましたリクエストのリベンジです。
私の中のアラヴレは、
ヴレは受けなのに攻め的な感じなんです。
精技は上〜、みたいな?
Sさま、遅くなりまして申し訳ありませんでした。
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